プリンセスの特別な事情
「え、どっかに地図ないの?」
私がそう聞き返すと莉子が鞄の中からパンフレットを取り出した。
「これに書いてあると思うんだけど。私地図読めないからなぁ…」
そう言って私にパンフレットを差し出してくる。
私にこれを読め、というわけですね?
「私たちが今いるのが…うんと…あ、ここだ!カフェテリア。で、講堂は…結構遠いね」
確認すると講堂はもう少し先のようだった。
「さーて、行きますかぁ」
なんて莉子は気楽そうな声を発する。
「でもさぁ…この学園、いろんな人がいるよね。っていうかー、学部がありすぎて人が多いよねぇ」
「でもそれがこの大学のウリなんじゃなかった?お嬢様たちの何になりたいかの希望をすべてかなえる、みたいな感じじゃなかった?」
「そうだけど…。よくこんなお金持ち学校に人が集まるもんだよね。だってここ、決してバカな学校じゃないじゃない?偏差値だって高かったし」