好きって言えよ[恋愛短編集]
「森山さん、俺さ…。」
「ごめん。」
「まだ何も言ってないのに。」
汐留くんが自嘲気味に苦笑する。
「ごめん。」
私にはもうそれしか言えなくて、
「うん。」って言えれば楽なのにと本気で思った。
「…まあ、何となくそう言われるんじゃないかなって思ってたし。
弱ったところを突いたらいけるかもしれないなんて。
我ながら狡い奴だよな。」
それは初めての苦味。
[苦味 END].