好きって言えよ[恋愛短編集]
教室の一番前、窓際一列目のアイツ。
今朝からなんだか変だ。
始終ボーッとしちゃって、
何かに憑かれちゃったみたいな感じ。
「…おい。刈沢、聞いてるか。」
「あ、は、はい。」
ほら、アンタのせいで私までとばっちり喰らっちゃったじゃん。
「じゃあ刈沢、この問題の初項と項差を答えてみろ。」
「え、はい…。」
慌てて教科書と黒板を見比べる。
だけど、授業なんてそっちのけだった私に分かるはずがない。
「分からないです…。」
そう言ってうなだれる私。
「そうか。
なら、汐留。
お前、解いてみろ。」
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