好きって言えよ[恋愛短編集]




その途端、私の胸に何か重いものが落ちた。




今度は私が隆司と目を合わせられなくなって、逸らす。




"好きな子"という言葉は、
9年間以上 一緒にいて、
初めて隆司の口から聞いた言葉だった。




今までに何度か噂で誰々が好きみたいなことは聞いたことがあったけど、

本人には怖くてなかなか聞けなかった。




この落ち込み様からすると、
相当本気で惚れた相手らしい。




私は「そっか。」と言って、隆司の頭をポンポンと優しく撫でた。




長い沈黙が流れ、私は他にしようがなくてそのまま隆司の頭を撫でつづける。




ふとちらりと目をやると、
隆司は必死に笑いを堪えているところで。




私は慌てて手を引っ込める。




「な、何で笑うのよ。」




「いや、だって。」




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