好きって言えよ[恋愛短編集]
放課後の教室。
夕日が机や黒板を淡い赤色に染めて、
窓のサッシが金色に光っている。
私は外の澄んだ空気を深く吸い込むと、
ため息と共に吐き出した。
今日は無理にでも笑わなければいけない日なんだ
と自分に言い聞かせながら、
窓の外の赤い世界を眺めた。
と、突然 ガラリと音をたてて教室の扉が開いた。
私はおもむろに振り向き、
その姿を目で捉えると窓に向き直った。
胸がぎゅっと押し潰された様に苦しい。
「千夏(ちか)。」
「何??」
私はわざとそっけない態度で返した。
そうやって自分に言い訳をしないと耐えられないと思ったから。
「…洋平、あんた言いに行かなくて良いの??」
思わずサッシを掴む手に力が入った。
食い込んだ窓枠が痛い。
黙っている洋平に耐え兼ねた私は、
そのまま言葉を続ける。
「あんなに頑張ってたじゃん。
高一の頃から。
ずっと一筋にさ??」
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