好きって言えよ[恋愛短編集]
最近お兄ちゃんに彼女が出来たみたい。
この前、
セミロングの髪の毛をハーフアップにした女の子と、
手を繋いで歩いて帰ってるのを見た。
確かお兄ちゃんと同じクラスの女の子。
陸上部所属の関崎先輩。
羨ましいなあ、なんて思うけど、
私にだって好きな人の一人くらいは居たりするわけで。
「海香、勉強してんの??」
お兄ちゃんが私の部屋のドアを開けて、
アイスをくわえながら入って来た。
「あーうん。まあね。」
私はフリシャーをカシャカシャ鳴らしながら答える。
これは難問だと眉根を寄せていると、
お兄ちゃんが頭の後ろから私の手元を覗き込んだ。
「数学??」
「あっ。」
お兄ちゃんは私から教科書を取り上げると、難しい顔をした。
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