好きって言えよ[恋愛短編集]
「…先生、おはようございます。」
ガラリと職員室を開けると、仄かなコーヒーの香りが鼻をくすぐる。
その匂いの元を目で追いかけると、スーツに白衣を着たいつもと同じスタイルの鹿山先生が座っていた。
宿敵の相葉先生は何か用があって出掛けているようで、
朝が早いから元々来ている人が少ないのか、
他の先生も皆出払っているようだった。
鹿山先生は私の顔をちらりと見ると、
すぐに先程まで見ていた難しそうな本に視線を戻し、コーヒーをすすった。
「…今日はどこ。」
ぐっとデスクを押してから椅子を回して私と向かいあう。
先生のこの仕草が一番好きだ。
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