好きって言えよ[恋愛短編集]
「この前、授業でやったココ、なんですけど。」
「…ここは、一回自分で図を書いてごらん。」
そう言って先生は紙を取り出すと、手近にあった赤いサインペンでスラスラと図を書き始めた。
「あ!!先生、分かりました!!」
私がそう嬉々として叫ぶと、先生はだろ??といった表情でニヤリと笑った。
「はい、これ持ってって。
もっかい後で自分でやってみな。」
そう言って私にプリントを渡すと先生はまたデスクに向き直ろうとする。
私の目の端には誰もいない職員が目に映っていた。
「…先生!!」
私は向き直ろうとする先生を遮った。
先生はなんだ??といった表情で私を見上げる。
私は脳内に今朝見た光景を思い描きながら、口を開く。
「先生は…好きな人いるんですか??」
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