好きって言えよ[恋愛短編集]



俺はふうっとため息をついた。



どっかで逆転できないか、

どうしたら恵美を俺のものに出来るか、

悩む。



「キス…とか、上手いんだろーなあ。先輩。」



ぼんやりと隣で恵美が呟く。



何がキスだよ。



「上手いんじゃね??


何しろダンディー、ですから。」



「何ー!?


馬鹿にしてるでしょお!?」



「別に。


で、どうするよ??


先輩と付き合って、

キスが下手な子嫌いとか言われたら。」



「へ、下手じゃないもん…。」



あからさまに態度がおかしくなった恵美。



馬鹿だな、恵美は。



今まで誰とも付き合ったことがないことだって、

俺は知ってるんだから。



「練習してみるか??」



恵美の髪に手を伸ばす。



柔らかい髪の毛が指の間からサラサラと落ちて、良い匂いがした。



「な、どうゆうこと…それ。」



恵美は顔を赤らめてしどろもどろに答える。



「こうゆうこと…。」



.
< 34 / 36 >

この作品をシェア

pagetop