好きって言えよ[恋愛短編集]
俺はふうっとため息をついた。
どっかで逆転できないか、
どうしたら恵美を俺のものに出来るか、
悩む。
「キス…とか、上手いんだろーなあ。先輩。」
ぼんやりと隣で恵美が呟く。
何がキスだよ。
「上手いんじゃね??
何しろダンディー、ですから。」
「何ー!?
馬鹿にしてるでしょお!?」
「別に。
で、どうするよ??
先輩と付き合って、
キスが下手な子嫌いとか言われたら。」
「へ、下手じゃないもん…。」
あからさまに態度がおかしくなった恵美。
馬鹿だな、恵美は。
今まで誰とも付き合ったことがないことだって、
俺は知ってるんだから。
「練習してみるか??」
恵美の髪に手を伸ばす。
柔らかい髪の毛が指の間からサラサラと落ちて、良い匂いがした。
「な、どうゆうこと…それ。」
恵美は顔を赤らめてしどろもどろに答える。
「こうゆうこと…。」
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