好きって言えよ[恋愛短編集]
恵美を強引に引き寄せて口づける。
ふっくらと柔らかい唇が病み付きになりそう。
「んッ…たい、ちッ!!」
恵美の弱い抵抗も、俺にとっては興奮を駆り立てる要因にしか過ぎないわけだけど。
甘いものを食べるように、大事に大事にキスをする。
次第にとろんとした目つきになった恵美。
ああ、ヤバいな。
これ以上は理性が持たない。
そう思った俺は恵美を離した。
「そんな下手くそじゃ駄目だな。」
「太一…。」
はあはあと浅く呼吸を繰り返す恵美。
「じゃあ…私じゃ、無理だね…。」
「ああ、無理だな。
てか、やめとけ、あんなん。」
恵美は表情の読めない顔でこくりと頷いた。
「…でも、ここだけの話し、
俺、あの先輩より頭よくて、
運動神経あって、
イケメンで、
お前のことよく知ってて、
お前のことだけを愛してる奴、
一人だけ知ってるぜ。」
「それって…。」
恵美が顔を赤らめながら、目を見開く。
「俺のこと。」
[I 愛 哀 END]