好きって言えよ[恋愛短編集]
「どうしたの??
何かあったでしょ??」
小柄で細身な青年の、
だけど私よりは背の高い、
彼のくりくりとした瞳が私を射ぬくようにして見つめた。
茶色く染めた髪の毛が夕日に照らされて眩しい。
「何にも??」
「嘘。
森山さん、嘘つく時にいつも髪の毛弄ってるから分かる。」
私はとっさに髪の毛を弄っている手を止めて降ろした。
「やっぱり嘘だったんだ??」
「汐留くんには関係ないでしょ。
ていうか、何で私が嘘つく時に髪を弄るって知ってるのよ。」
自分でも気がつかなかった。
そんなに自分が分かりやすい人間だったなんて恥ずかしい。
「なんでって…見てたら分かるよ。」
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