奴の憂鬱
そんな惨めな人間共を
円盤の中の大きな大きな窓から
奴は眺めていた
そして演技めいた声音で
1人嘆いた
「あー、この地球(セカイ)は単純明解。実に陳腐なモノだ」
その声は円盤中に響き渡り反響した
返事は帰ってこない
が、奴はお構いなしに
先程より強い口調で続けた
「アレは馬鹿で、惨めで、卑しく、且つ貪欲だ。アレ等は"恋愛"などと云う実体の知れない嘘吐きお遊戯が生きがいの1つらしいじゃないか。そんな幻想に浸ることが生きがいとは!全く見苦しい生物だ。」