恋バス【短編】
「おーい?」
大きな奏君の手が私の目の前でひらひらと揺れる。
「んぁ…、ごめん」
「ふはっ。さっきから謝ってばっかだね」
ケラケラと笑う彼。
ほんと、私ってば謝ってばっかり。
取っ付きの悪い人に見えちゃったかな…?
心の中の自分とブツクサと会話をする。
「っと…、鹿児って所で降りてる」
「へー。意外と近いんだね。いつも一緒のバスなのに、俺が降りる時もぽけーっとしてたからもっと先かと思ってた」
「へ…?」
私…、見られてたの…?!
カーッと自分の顔が熱くなるのが分かる。