ラブレター

日曜日

初めてあいの車に乗ったのが、ただの我が儘。で、なんて、自分が嫌になる。

ゴメンね。と笑いながら言った自分が、嫌になる。

そんな僕には、今、彼女が二人いる。

これだけで、おかしい事なのだが、それも嫌になる。

寂しい。とか、不安。のせいにして、優しい誰かに逃げる自分。

長年、付き添った彼女と、遠距離恋愛中の彼女。

どちらかと喧嘩をしたら、もう一人に甘える。

そんな事をしないと、情緒不安定な僕は、やっていけなかった。

悪い事とは知りつつ、ただ、スリルを求めていただけなのかもしれない。

人に裏切られたりする事はよくあったし、そう思うのは、人を好きになりすぎる自分がいるからだ。とも思う。

好きだった友人に、お金を騙し取られたり、好きだった彼女達に、裏切られたり。

僕は、何もしていないのに。

きっと、自分が一番好きなのだろう。

そう考えていると、またアレ(情緒不安定)になって、狭い自分の部屋で、言いきれない感情と闘う。

部活を引退したからか、体を動かす機会も無く、暇を持て余しては、嫌な事を思い出している。

人のせいにばかりしている。

将来を決めなさい。と、学校では追い詰められ、親からも、どうするの?と言う眼差しが向けられて、全てが嫌になる。

小さな体に、そんな大きな事を決めるのは、不可能に近い。

汚い布団に寝転びながら、カーテンの隙間から流れる雲を、ずっと見つめる。

眩しい青い空を、自由に泳ぐ姿を見ていると、少しだけ気分が落ち着く。

部屋に響く音楽は、激しい歌ばかりだけれど。

学校は、ある意味良い。

友達に、恵まれたのだろう。

馬鹿な事ばかりしたり、言ったりしていられたから。

だから、こんな日曜日は嫌い。

暇潰しに、携帯をいじくりながら、メールを送る。

返事なんて、期待していない。

うとうとしながら、カーテンの隙間から見える雲を、ただ、眺め続けていた。

眠気が誘ってきた瞬間、携帯の着信音が、部屋に響いた。

受信ボックスのフォルダ名。

先輩。

『少しだけでいいなら、いいよ。どこで会う?』

少し前に、あいへ送ったメール。

『相談、聞いてもらいたいんだけど。暇だったら、会えない?』

この間、迎えに来てもらってからか、あいとのメールが増えた事に、気付く。

木漏れ日がチラついていた、日曜日。
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