トラック野郎と君
天災との巡りあわせ
 さて、ここに綴るのは、現在40歳の俺がかれこれ10年ほど前に体験したフィクションである……と、前置きして書いていくことにしよう。

 10t車の長距離ドライバーになってから、かれこれ10年近くある程度平穏に暮らしてきた俺は、いつの日か、配車係に昇格することを夢見て、毎日会社にこき使われていた。    

なかなかうまくいかないもので、今の会社で3つ目だが、ある程度の不満を棚に上げれば、それほど悪くはなく、何事もなければここで落ち着いてしまうつもりである。

さて、今回の旅は丸々一週間と少々ハードだが、金になる仕事である。大阪から青果物を積んで神戸で下ろし、神戸で砂糖を積んで高知で下ろす。更に、高知でもう一度青果物を積んで広島で下ろして、大阪へ戻る。仕事内容はまぁまぁ。青果や砂糖なら、匂いがないので、後々の車の匂いが心配ない。

その日、砂糖屋の倉庫近くのコンビニに、午後9時に到着した俺はそのまま車内のベッドルームで眠ることにした。(4t以上は座席の後ろに、カーテンで仕切っているベッドルームがついている) 。座りっぱなしで腰が痛くなってくるし、年のせいか、極端に目が疲れる。

携帯の目覚ましをセットして、すぐに目を閉じた。今年35の俺。もう若くはない。

(……いたずらか? ……ん? ……あぁ? ……はぁぁ!?)

突然、大きく車体が揺れ、飛び起きた。慌てて仕切りのカーテンを開ける。

「うわっ!!」 

揺れていたのは、車ではなく、地面だった。相当大きな地震である。

そう気づいたときには、揺れはおさまっていたが、今のはかなりの揺れである。俺は慌ててカーテレビをつけた。

(くそう……道が混む……)

 しかし、そうならそれで、早く出発する必要がある。俺はすぐさま積み先の砂糖屋に電話もかけず、急いで車を走らせた。
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