トラック野郎と君
 しかし、次の日の朝になっても、乗船の順番は回ってこなかった。それどころか、昨日以上の人と車がごった返している。テレビで見る限り、世の中はすごいことになっているのに、俺は、なんてのんびりしているんだろうと、欠伸の1つも出た。

 とりあえず、携帯をとって、家族に電話してみる。

「あ、もしもし? 俺やけど…」

「何? 大丈夫なんやろ?」

 相変わらず冷たい妻だ。

「あぁ…まぁ。そっちは?」

「昨日電話したやん!」

「子供は? 今、何してる?」

「忙しいし、また夜にして!」

 ガチャッ。プー、プー、プー、プー……。

 午前7時15分……まぁ、仕方ないか(笑)。……昔は……、その、気の強いところが良かったんだけどなぁ……。

(それにしても……今から何するよ?)

 結局その昼間はだらだら過ごし、夜になって、ようやく乗船の順番も近づいてきた。

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