神様、僕の初恋に栄光を。
「・・・・・あ――――――――――!!!!!!!!!!!!」



私の突然の大声に、白倉さんは不思議そうな目で見返す。


周りの病室に響いてしまうような大声に、さすがの白倉さんもびくっとした。



「な・・・なに?」



白倉さんは驚いたという顔をして私の顔を凝視する。


私はすぐに、手元にあった雑誌を手に、雑誌の大見出しのところを開いた。



「あなた・・・この人だ!!ホラ、この雑誌に載ってる・・・大空バスケ部キャプテンの【大空の天才】だ!??」



と言いながら私は雑誌の写真の所を指さす。


今より髪が短いけれどこの写真の人は、絶対にこの白倉さんだ。


写真の中の白倉さんはキラキラとまぶしい笑顔でトーナメントカップを掲げながらピースをしている。


なんだろう。同じ顔なのに。


まったく雰囲気が違う。



「あぁ・・・それ、去年の全国大会優勝した時の・・・懐かしいなぁ」



そうすると白倉さんは、フワッと笑って見せた。


写真どおりの綺麗な顔が余計に綺麗で、少し眩しい。


しかし、少し儚げだった。


写真のように、キラキラしてはいなかった。



「・・・だけどバスケが強くても、今出来ないんだから意味ないよ。」



私はその言葉の意味がよくわからなかった。



「・・・え?何で。病気治ったらやればいいじゃん」



「・・・・・・・・・・」



私は少し皮肉の混じった言葉で真実を述べると、


白倉さんは笑顔を消し、いきなり黙ってしまった。


何?私なにか悪いこと言った?



「・・・・・・・君は、純粋だね。」



「へっ?」



予想してなかったことを言われて、若干戸惑った。


もっとこう…そうだね。とかできるといいね。とか。


希望に満ちた言葉を言うのかと思っていた。


戸惑う私をよそに、白倉さんは目を合わせずに、


「・・・治す方法が見つからなかったらとか、見つかっても手術に失敗して死んだらとか、万が一成功しても・・・もう2度とバスケはできないと言われたりとか・・・考えないんだね。」


と、無表情のままつぶやいた。


「え・・・・・・・・・・・・・・・・・」


一瞬、白倉さんは心底悲しそうな顔をした。


・・・私はきっと、言ってはいけないことを言ってしまったんだろう。
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