神様、僕の初恋に栄光を。
「俺はね、つい一週間前、ここの屋上から飛び降りたんだ。」



白倉さんはまるで日常会話のように軽く話し、


屋上へとつながる天井を見た。



「え・・・飛び降り・・・た?」



「なんか人生いやになってね。飛び降りてみた。けどさ、ちょうど下がプランターで骨折にしかならなかった。」



だんだん白倉さんの顔が暗くなっていく。



「え・・あ、あの・・・」



私は気まずくなって白倉さんに謝ろうとしたら、


最初の看護士とは違う看護士がドアをあけて入ってきた。



「優ちゃーん?そろそろ検査の時間・・・ってあら、白倉くん。戻ってたのね」



私に向けられた視線が白倉さんの方へと行く。



「あ、はい」



白倉さんは暗かった顔をぱっと戻し、さっきの儚げな笑みを浮かべた。


・・・看護士が入ってきたせいで、なんだか謝りそびれてしまった。


KYだなぁ・・・この看護士・・・


私はなんだかもどかしい気持ちで、看護士の方へと歩きだした。



「・・・分かりましたー」














「優。」



「!!」



いきなり名前を呼ばれて、思わず顔が赤くなった。


私は白倉さんの方を振り向く。



「検査からかえってきたらまた話そう。待ってるから」



と、言われ頭をなでられた。


・・・なんだか子ども扱いされている気が・・・?



「・・・・う・・・うん」



赤くなった顔がばれないように、私は進行方向を向いた。


小さなこの病院の二階にある検査室へと足を赴き、


中へ入って私はちょこんといすに座った。


先生にいろいろな検査をされている途中、私は聞いてみた。



「先生ー。私の病気ってどんな病気??」



すると先生は、



「え・・・あ、あぁ・・・大丈夫。頑張ればすぐに治る病気だよ」


と、うろたえながら答えた。


嘘だ。ならどうしてそんな顔をするの。



「・・・・・・・そう」



・・・けれど、嘘だと分かっていて、私はあえて素直な返事をした。


・・・先生を、困らせてはいけないから。


・・・「私はあとどれくらい生きられるか」なんて、聞けなかったから。

< 7 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop