リスタート~運命の合格発表~【ショートストーリー】



「吉太郎と同じ高校に受かったら、お祝いしてよね!」




精一杯、昔の私を演じて見せた。


吉太郎は、私の知らない大人っぽい顔で笑った。



「おお!まぁ、頑張れよ!おばさん悲しませないように、しっかり勉強しろよ!」



いつの間に、そんなに大人になったんだろう。


私のお母さんのことまで心配してくれる吉太郎は、やっぱり『優しい吉太郎』のまま。

吉太郎が『頑張れ』と言ってくれた。


私は、絶対吉太郎と同じ高校へ行くんだと、心が決まった。




本当は言いたかった。



…吉太郎、勉強教えて!って。


…一緒に勉強しよう!って。




でも、言えなかった。




久しぶりに見つめた吉太郎は、『男』になっていた。


すべすべの卵のようは肌だったのに、にきびが出来ていた。



声…低くなってた。


吉太郎は、もう私の婚約者じゃない。







< 10 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop