リスタート~運命の合格発表~【ショートストーリー】
「吉太郎と同じ高校に受かったら、お祝いしてよね!」
精一杯、昔の私を演じて見せた。
吉太郎は、私の知らない大人っぽい顔で笑った。
「おお!まぁ、頑張れよ!おばさん悲しませないように、しっかり勉強しろよ!」
いつの間に、そんなに大人になったんだろう。
私のお母さんのことまで心配してくれる吉太郎は、やっぱり『優しい吉太郎』のまま。
吉太郎が『頑張れ』と言ってくれた。
私は、絶対吉太郎と同じ高校へ行くんだと、心が決まった。
本当は言いたかった。
…吉太郎、勉強教えて!って。
…一緒に勉強しよう!って。
でも、言えなかった。
久しぶりに見つめた吉太郎は、『男』になっていた。
すべすべの卵のようは肌だったのに、にきびが出来ていた。
声…低くなってた。
吉太郎は、もう私の婚約者じゃない。