リスタート~運命の合格発表~【ショートストーリー】
遠ざかる背中
初めて、吉太郎を男だと意識したのは小学校の6年の時。
修学旅行先で、具合の悪くなった私の看病をしてくれた。
あんなに楽しみにしていた遊園地なのに、
吉太郎は2日目の遊園地を我慢して、私と一緒にいてくれた。
「美咲ちゃんの面倒は僕がみるから!」
まだ私よりも背の小さい吉太郎が、私をおんぶした。
チビでも、力は強かった。
やっぱり男の子なんだ。
吉太郎は、私の後ろを追いかけるのが当たり前だと思っていたのに、
気付くと、私が吉太郎を追っていた。
意地っ張りの私は追いかけることなんてできない。
心の中でだけ…