リスタート~運命の合格発表~【ショートストーリー】
追いつきたい
吉太郎のお母さんから聞いた吉太郎の志望校は、私の学力ではかなり厳しい。
担任の先生にも、ひとつランクを下げるように勧められた。
迷った。
すごく迷った。
でも、あいつの一言が私の迷いを消してくれた。
珍しく家の前ですれ違った吉太郎が、声をかけてくれた。
塾へ向かう吉太郎は、私服に着替えていて、まるで知らない人のように見えた。
「俺と同じ高校受けるって本気?」
吉太郎と話すのは、久しぶりすぎて、声変わりをしたことも知らなかった。
そして、『僕』と言ってた吉太郎が『俺』と言ったことに驚いた。
家が隣だと言うのに、なかなか偶然会うことはない。
長い時間が経ったんだと実感した。