苺ドロップ
憧れ
「ほら!彩、こうちゃんがでてるよ!」
―――その時、私はまだ幼くて
初めて見た「こうちゃん」の姿に感動した。
こうちゃんは、あの小さな体で
バク転したり鉄棒をぐるぐるまわったり...
私も、あんな風になりたい。
生まれて初めて「憧れの人」ができた。
私は鈴木彩。当時5歳だった。
こうちゃんは6歳で、ひとつ年上。
お兄ちゃん同士が同じ部活動に入ってて
こうちゃんのママからスポーツクラブの
発表会に招待されて
そこで初めてこうちゃんをみた。
こうちゃんはずっと私の憧れだった。
あの日から一度もあってないけど、
こうちゃんを忘れなかった。
私たちがまた出会うなんて
ありえないことだった。