なりすまし
昼休みになったが、俺は結論を出せずにいた。

そこへやってきたのは光希だった。

その様子は、どことなく不安そうで、顔色もあまり良いとは言えなかった。


「どうした?具合でも悪いのか?」

すると、光希は少し身振り手振りを大げさにして答えた。

「あぁ、具合は絶好調だけど最悪だね、気分は」

……アメリカのドラマみたいだな。

偏見がすぎる、とその考えを掻き消した。


「どうしたんだよ」


「悠太、お前ならもし自分のケータイのデータを勝手にイジられていたらどう思う?」

その声には怒りとも悲しみともつかない、複雑な感情が見え隠れしていた。



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