少女は偽りの恋
店員が再び去った後、ツグミはいかにも女子らしく身を乗り出し、小都音に近づいた。
その動作に驚いたように、小都音は体を反らせた。
「ねっ、見た?あの店員、格好良かったね!!」
興奮気味で話すツグミを見やり、小都音は肩を竦めた。
「背が高すぎて顔が見えなかった。」
するとツグミは控え目に笑い、声を更に抑え、
「あの人、小都音に気がある感じよ!」
と不可解にも程があるような台詞を口にした。
小都音は苦笑いをする他無かったが、ツグミは更に続ける。
「見た?あの人、完全に小都音の虜になった感じよ。
…ほら、ほら!今でもアンタの事をチラ見してるわ!
作業に集中しろって感じだね。」
ツグミは完全に面白がってるように喋り、視線をチラチラと小都音の後ろに寄越す。
小都音は全くツグミの言ってる事が理解出来なかったので、半ば呆れた口調で尋ねる。