少女は偽りの恋
…しかし、
そんな二人の間に流れていた穏やかな空間は、
瞬時に凍り付いた。
ツグミは目を限界までに見開いた。
彼女は突然の出来事に驚き、
驚きのあまり、ソファの椅子から転がり落ちるんじゃないかと思った。
しかし、彼女は背もたれに勢い良く寄り掛かっただけで、転がりはしなかった。
しかし一方、小都音は突然の出来事に身を凍らせた。
頭の上に何かが乗っているような違和感を小都音は覚えたのだ。
あまりにも突然な出来事で、彼女は声を発することさえも出来なかった。
重い…。
頭の上に、何かが乗っかってる…?
これは…何だ。
頭の中で混乱し、一瞬幽霊が付いたんではないかと小都音は思い付いたが、それにしては頭の重みからは微かに温もりを感じると気が付く。
小都音は顔を動かすことが出来ない。
頭には依然として何かが乗っかってる感触がある。
上目遣いで眼球だけを動かしツグミの方を見ると、
彼女も酷く驚いた様子で自分の頭上部を見つめていたので、
この感覚は錯覚ではないと、一瞬何故か安堵の気持ちで一杯になった。