少女は偽りの恋
店員が去って行った後、小都音は辺りの内装にも目を配る。
中々立派だな、と内心感心しながら、メニューを素早く捲る。
「私、一番安いオムレツでいいや。」
早速メニューを決めてしまい、ツグミは顔を上げる。
「ええっ?!アンタ、またオムレツ?
オムレツなんてどこでも食べれるじゃない、イタリアンに来たんだからもうちょっと高級な物選びなよねー。」
不服そうにつべこべ言うツグミをよそに、小都音はムッとする。
「いいえ。
オムライスなら日本発祥だけど、オムレツは世界中どこの国でも作られてるんだから。
それに高級料理って言っても、廉価なんだからどうだか。」
「オムライスとオムレツなんて、大して違わないじゃない。」
「何言ってるの、一つは卵料理で一つは米料理なのよ?
全く違わなくないんだよ。
大体、私は卵料理一筋なのよ。」
小都音は言い終え、メニューのオムレツを愛おしそうに見つめる。
「それならさ、ほら、フリッタータ頼んだろどう?
値段は普通のオムレツより高いけど。」
そう言いながらツグミは小都音の持っていたメニューを捲り、フリッタータと横に書いてある画像を指す。