少女は偽りの恋




黛小都音は周りとズレているんだ、とツグミはいつも思う。


華の大学生の割には、小都音は服装や容姿に気を配ったりはせず、しかしながら周りよりも一段と大人びた雰囲気を纏わせている。

最も、容姿に気を配らなくとも、
小都音は初対面の人間を幾度も驚かせるほどの別嬪さんなのである。

大学でも小都音を虎視眈々と狙っている人間が仰山居ると噂で聞いた事があるが、当の本人は鈍いのか興味がないのか全く異性と関わりを自分から持ち出したりはしない。



「フリッタータは、確かに卵料理だわ。」

「ん?うん…そうでしょう?」

「ええ…その上、1950年代までに、フリッタータはオムレツと同義語で使われいたの。」

「えっ、それは…そうなの?」

「ええ。フリッタータはイタリア版のオープンフェースのオムレツ、とも言われてるほど、オムレツに似た卵料理であるの。」

「へぇ、知らなかったな、
で、どうするの?」

「ツグミったらお目が高いわ、よくフリッタータに目を付けたわね。
私、やっぱりこれにする。」


小都音は嬉しそうにメニューを閉じるので、ツグミも嬉しくなった。

同時に同性ながらも、
ツグミは小都音の可愛らしく美しい笑顔に胸がキュンとした事は、言わないでおいた。



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