少女は偽りの恋
すると小都音はそそくさと店員の呼び出しボタンに指を掛ける。
呼び出し音はハッキリと響き渡り、間も無く若いウエーターがやってくる。
ツグミは顔を上げると、ウエーターが中々の二枚目である事に気付き、僅かながら興奮を感じた。
一方小都音の方を見やると、彼女は全くウエーターの身姿に興味を示さず、むしろフリッタータだけに愛情を込めて頼んでいるように見える。
そんな様子を目にし、ツグミは溜息を零しながらも丁寧にウエーターにカルボナーラとサラダを頼んだ。
すると気のせいか、
二枚目なウエーターがチラチラと小都音の方を気にしているのが分かる。
ツグミは笑いそうになるのを堪え、
「以上で宜しいでしょうか」と尋ねるウエーターに対し、
「以上で」と素っ気無く応えた小都音をジッと見つめた。