恋人未満、幼なじみ未満。(仮)
トクン……トクン……
胸が、無意識に高鳴る。
だって私の目の前には
中学生の頃と変わらない。
焦げ茶色の髪をしたカレの後ろ姿があったから。
身長こそ180は裕に越えてる感じはするし、人を寄せ付けないオーラもある。
でも、間違いない。
「ゆきく……ん……」
思わず、声に出してカレを呼んでしまった。
ヤバイ。
そう感じた私は慌てて口を覆う。
ゆきくんが此方を振り向こうと首を動かそうとした、瞬間。
「ゆきくん~!」
甘ったるい女の子の声が耳の中で響いた。
それはきっとその子が
ゆきくん
私だけが、呼んでいた筈の名前だったから。