俺様彼氏の甘い罠
「 あの・・・? 」
「 高坂さん、”そういう格好”も
いいとは思うけど、あんまり
フラフラしないようにね 」
「 ・・・・? 」
よく言っている意味が
分からなくて首を傾げていると
そっと体を離した彼に
”返事は?”と言われて、
「 ・・・・・?・・・はい・・ 」
首を傾げながら一応返事をしたら
彼は小さく笑いながら頭を撫でてきた。
「 よくできました。
教室まで送ろうか? 」
「 ・・・あ、いえ・・・ 」
教室までまた距離が遠のいたけど
階段は手すりがあるし、
きっとなんとかなる・・・と思う。
下りてきた階段を見上げながら
大丈夫です、とそれから
助けてくれてありがとうございました、と
頭を下げたら、苦笑した彼の手が
頭を撫でて、
「 気をつけてね 」
そう言われた。
こくん、と頷いて階段を上って
振り向いたら彼はもういなかった。