俺様彼氏の甘い罠
「 おはよう、澪ちゃん 」
校門の手前で肩を叩かれた。
その呼び方、やめて欲しい。
立ち止まって振り返れば
きっと体は動かなくなる。
そう思って、振り向きもせず
歩くペースも変えずに
すぐ後ろを歩く彼に挨拶だけ返した。
「 前に言わなかったっけ?
話すときは人の目を見て・・・ 」
「 ・・・挨拶、ですから 」
「 あぁ、そっか 」
”そういえばそうだね”なんて
笑いながら彼は私の隣に並んだ。
玄関に入ってしまえば
生徒だってたくさん居て、
すぐに靴を履き替えて
階段を駆け足で上がればいい。
「 あれ?ネクタイどうしたの? 」
「 なんのことですか 」
「 ・・・・”先生”か 」
・・・・・こんな彼の呟きにも
反応しちゃだめ。