俺様彼氏の甘い罠
簡単に触れることを許してしまう
弱い自分に、弱みに付け込んでくる彼に。
ぎゅっ、と強く握った拳。
行く宛てのない苛立ちを
静かに押し殺しながら
奥歯を噛み締めて、
ゆっくり顔を上げた。
「 ───────────せん、せい・・・? 」
さっきまでそこに居た先生が
下駄箱の前に居た会長の前に居る。
チャイムが鳴ったのか
周りに生徒は居なくて。
玄関には、私と、先生と、そして
会長の3人しか居なかった。
”不幸中の幸い”って
こういうことなのかな。
だけど今この時間なら
遅刻して来る生徒だって
居るはずで。