俺様彼氏の甘い罠
「 どうしたんですか、先生?
殴らないんですか? 」
教師が生徒の胸倉を掴んでる、なんて
誰が見たって大騒ぎするに決まってる。
止めなきゃいけない。
だっていつ誰が来るか分からない。
他の先生だって通るかもしれない。
昨日の怒りに満ちた表情とは違って
いつもと変わりない眠そうで、
ダルそうな表情をした先生は
会長の胸倉から手を離して、
するり、とネクタイを取った。
「 嫌がる女から取って
つけるもんじゃないだろ 」
「 ・・・・・・へぇ? 」
「 生徒会長なんだろ、お前。
堂々と生徒の前で”人のモン”に
手出すな 」
止めなきゃ、って駆け寄った私を
会長が楽しそうに横目で見て、
「 生徒が居なかったらいいんですか? 」
爽やかな笑顔で首を傾げて
会長は先生を見上げた。