俺様彼氏の甘い罠
あの日、あの時。
会長とのことで先生には
迷惑と心配を散々掛けた後で、
それでも私を全然責めない彼に
私から何かしてあげたかった。
欲しいものでもいい。
とにかく、お返しをしたくて、
後先考えずに口を開いた。
「 ・・・・先生・・? 」
「 もう先生じゃないだろ 」
「 ・・・・直斗・・? 」
「 うん、なに? 」
学校から先生の家に着くまでの間、
他愛ない話をしていた。
3年間で楽しかったことだとか、
結花ちゃんがとにかくすごいとか、
本当に、ついさっきまでそんな話を
していたはずなのに。
「 まだ寝る時間じゃないですよ? 」
部屋に入るなり荷物を取り上げられて
そのまま私の荷物をソファに
放り投げた先生が妖しい笑みを浮かべて
私に手を伸ばした。
多分、怒ってはない・・・はず。
だけど反射的に私は両手で顔を
守っていて、”何してんだ”って
先生が小さく笑った。