俺様彼氏の甘い罠




「 ・・・・あの・・・っ 」




教室を出たらきっともう
戻れない。




1人じゃ、戻れない。




嫌だ、怖い、だけど
ここに居るのも怖くて
私は一瞬で、彼によって
選択肢全てを奪われてしまった。




「 俺、このクラスが最初だから
  これから他のクラスも回るけど
  どこか行きたいところはある? 」




繋がれた手に絡む指。




大きくて、だけど少し冷たくて、
似ているけど全然違う。




───────────先生じゃないと、嫌だ。




「 ・・・・・澪? 」


「 ・・・・・・・・・さい 」


「 なに? 」


「 ごめんなさい・・・ッ 」




人通りの少ない渡り廊下。
足が痛いことなんて忘れて
気付いたら頭の中は、先生で
いっぱいになっていた。




< 23 / 231 >

この作品をシェア

pagetop