俺様彼氏の甘い罠
「 ・・・・あの・・・っ 」
教室を出たらきっともう
戻れない。
1人じゃ、戻れない。
嫌だ、怖い、だけど
ここに居るのも怖くて
私は一瞬で、彼によって
選択肢全てを奪われてしまった。
「 俺、このクラスが最初だから
これから他のクラスも回るけど
どこか行きたいところはある? 」
繋がれた手に絡む指。
大きくて、だけど少し冷たくて、
似ているけど全然違う。
───────────先生じゃないと、嫌だ。
「 ・・・・・澪? 」
「 ・・・・・・・・・さい 」
「 なに? 」
「 ごめんなさい・・・ッ 」
人通りの少ない渡り廊下。
足が痛いことなんて忘れて
気付いたら頭の中は、先生で
いっぱいになっていた。