俺様彼氏の甘い罠
頭に響く大好きな声に
また涙が溢れ出した。
「 なに、先生。
邪魔しないでくれる? 」
「 生憎、俺は教師だ。
”そういうの”見逃せねーんだよ 」
私の目元を覆った大きな手のせいで
彼の顔はもう見えない。
「 ・・・ふーん。
じゃ、いいや。
”またね”、澪ちゃん 」
足音が遠ざかっていくのを
感じながら、徐々に足の力が
抜けていく気がした。
「 とりあえず保健室行くぞ。
足、痛いんだろ 」
「 ッ・・・・うぇ・・・ 」
「 ・・・・・ったく 」
不機嫌なその声に縋るように
肩に乗っかった手を掴んで
ぎゅっ、と握ったら
先生は小さく息を零して
”手のかかる奴だな”と
笑いながら私を抱き上げた。