俺様彼氏の甘い罠
履き慣れないヒールの高い
ミュールは正直既に足が痛い。
教室が遠い・・・
背中まで伸びていた髪は
アップにして巻いて、
一応生徒だから濃いメイクは
だめらしく、メイクは薄め・・・らしい。
「 ・・・・・・うっ 」
どこが、薄いのか分からない。
グロスで唇はツヤツヤしていて、
マスカラとアイライナーのおかげで
目が黒い。
・・・・・私じゃないみたい。
鏡に映し出された”自分”を見て
この場から逃げ出したくなった。
「 あれ、どうしたの?迷子? 」
「 ・・・いや、どう見ても生徒だろ 」
「 だよな~! 」
教室までまだ少しかかる。
この靴で走るのは絶対に無理・・・
つまり、”逃げられない”。