俺様彼氏の甘い罠




階段を上ってきた
他校の制服を着た3人組が
茶色の髪と派手なピアスを
揺らして笑いかけてきたけど
言葉が出なくて俯いてしまった。




「 あれ、無視? 」


「 恥ずかしいんじゃないの? 」


「 へー、可愛いねぇ 」




学祭だし、人が通るはずなのに
どうしてこういう時に限って
誰も通らないんだろう。




こんな格好で、こんな靴で、




・・・・もう、やだ。




「 あれ、泣いちゃった? 」




クラスの出し物だから、って
3日頑張ればいいだけだから、って




恥ずかしくてどうしようもなくて
ミュールなんて脱いで裸足で
逃げようか、なんてもうずっと前から
思っていたけど、




どこかに隠れようとも思ったけど、
クラスみんなが頑張るのに
私だけが頑張らないのは
絶対にだめだと思った。




< 6 / 231 >

この作品をシェア

pagetop