俺様彼氏の甘い罠
「 あ、澪!
どこに居たの? 」
制服に着替えて髪もおろして、
第2校舎を出るまでずっと
繋いでいた手をそっと離されて
少しだけ、また泣きそうになった。
グラウンドに生徒が集まる中
先生は1度職員室に寄るから、と
私とは逆方向へ歩いていって
その背中を見送っていたら
結花ちゃんに声をかけられた。
「 ・・・うん、心配かけてごめんね・・・ 」
「 ”うん”って・・・・まぁ、いっか!
少し目赤いけど、大丈夫? 」
泣き止んだのは本当についさっきで、
止まったと思ったらまた出てきて、
結局全然止まらなくて。
相変わらずな俺様口調なのに
触れる手は優しくて、
それにまた涙を誘われて・・・・
「 ・・・澪、保健室行く? 」
「 ・・・ううん、大丈夫だよ 」
1日中学校で一緒に居れた。
校舎は回れなかったけど、
学祭を一緒に過ごせた。
・・・・それだけで、十分だった。