俺様彼氏の甘い罠
「 この階段下りてすぐじゃなかった? 」
「 おー、多分そう 」
2人の間に挟まれて
逃げることなんてできなくて、
泣きそうになるのを
ぐっと堪えて、
”誰か”と人を探した。
「 ───────この子、どうかした? 」
誰か、誰か、って
心の中で何度も叫んで、
それでも人が居なくて、
もうだめなのかもしれない、って
心のどこかでそう思ったときだった。
「 ・・・は? 」
「 この先は保健室だけど、
怪我?それとも具合が悪いのかな? 」
「 別にいいだろ 」
壁に手をついて、
行く手を阻んだ彼は
この場に似合わないほどの
笑顔を私に向けた。