俺様彼氏の甘い罠




「 この階段下りてすぐじゃなかった? 」


「 おー、多分そう 」




2人の間に挟まれて
逃げることなんてできなくて、




泣きそうになるのを
ぐっと堪えて、
”誰か”と人を探した。













「 ───────この子、どうかした? 」




誰か、誰か、って
心の中で何度も叫んで、
それでも人が居なくて、




もうだめなのかもしれない、って
心のどこかでそう思ったときだった。




「 ・・・は? 」


「 この先は保健室だけど、
  怪我?それとも具合が悪いのかな? 」


「 別にいいだろ 」




壁に手をついて、
行く手を阻んだ彼は
この場に似合わないほどの
笑顔を私に向けた。




< 9 / 231 >

この作品をシェア

pagetop