俺様彼氏の甘い罠
「 お前らうるさい。
早く座れ 」
ムスッとした先生が
教卓の前に立って
たった一言そう言っただけで
教室内が静まり返って
全員が席についた。
「 進路の話してんだから
もっと真面目に聞け 」
10月上旬。
高校3年生の私たちは
ここ最近、毎日進路について
”考えさせられて”いた。
「 ・・・高坂、ちょっと来い 」
「 へ? 」
「 いいから 」
1番後ろの席からぼうっと
先生を見ていたら、
目が合って、名前を呼ばれた。
早くしろって急かされて
教卓の方へ行くと先生が
持っていたペンで私の頭を小突いた。
「 っ・・・なんですか? 」
「 お前は焦らないとやばいだろ。
放課後、面談するから 」
それでも決まらなかったら
三者面談な、と後付されて
何度も頷いた。