俺様彼氏の甘い罠
「 澪、帰ろ~ 」
「 あ、結花ちゃんっ 」
放課後、結花ちゃんに
後ろから抱きしめられて
うん、って言いかけて
視線を逸らした。
「 ・・・えっと・・・今日は・・・ 」
「 あ、面談だっけ 」
「 うん・・・ごめんね? 」
「 いいよ~ 」
スッ、と私から離れた
結花ちゃんが振り返って
小声で、”良かったね”と
手を振りながら言ってくれて
頬が緩んでいるのも気にせずに
うん、と大きく頷いた。
先生と学校で一緒に居られる。
同じ学校で、教室で。
だけどそれは決して”特別”じゃなくて
だからこうして放課後に書庫に
行けるときは無意識に頬が緩んでしまう。
・・・・・特別、ってすごい。
みんなが知らない先生を知ってる。
それだけで一人占めしてるみたいで
少しだけ優越感を感じられた。