妖狐の姫君
当然非は私にあって彼にもあって。
またまた言い逃れできないような展開になって私と彼は無言になり私は謝る選択しか思いつかなくて。
ごめんと不本意ではあったが私が悪いと思っていた。
その後は足蹴りされて罵声を浴びさせられてその時の記憶はあまり覚えてなくて気付けば私も友達ももみ合っていた。
結果として恋人に振られ友達とは絶縁、私は友達の彼氏を寝取った尻軽女とレッテルを貼られて。
周りの子も私を軽蔑視してよく遊ぶ仲間とはぎくしゃくしてついに1人になった。
もうじきで進路先を決めなきゃいけない時期に迫っていた。
高校3年あがる前の春先のことだった。
彼氏と一緒に都会に出て一緒の大学に進学して一緒に住んで一緒にそれで、それで…。
夢見てたのに。
他のことなんか考えられない。
どこに行けばいいのかわからない。
自分のやりたいことが見つからない。
これから私はどうすごせばいいのかわからない。
進路にしたって友達にしたって。
「一からやり直したい」
「お困りのようで」
えっ?と後ろから声がして振り向いた。
そこに1人着物姿の男性がいた。
この現代にこんな姿の人がこんな静かな散歩道に海を見にきたのか。
無言のまま目を合わせる。
「最近、物騒なので夜道に女の子1人で危ないですよ」
「気にしないでください。そっとしておいてください」