妖狐の姫君
「―――‐‐げんだ」
「本当か」
「空から降ってきたぞ」
「こりゃたまげた。間違いねぇ」
ここは……
私は………
「目が開いたぞ。生きてやがる」
「食ってもいいか?」
ざわざわと声がする。
騒々しい。
体が痛いような動けないような。
ピクリと指が動く。
私、生きてたんだ。
よかった。
腕に力を入れて体を起き上がらせた。
「えっ……」
「おー、たしかにこりゃうまそうだ」
どうしたことだろう。
首を左右に動かせば辺りは驚愕なことに、不思議な生物が私を見ていた。
妖怪……?
それも囲いこまれて私は動けず何も言葉にできなかった。
「人間だ。すっげー初めて見たぜ。いい匂いがぷんぷんする」
「オスか?メスか?」
なぜ妖怪たちが私を見ているんだろう。
ここは一体どこで私はどうしてここに。
思い出してみよう。
知らない男に声をかけられて仮の世に行かせてっていって海に放り投げられて。
それで、目が覚めたらここにいて。
…妖怪に出会った。
「雄か雌かは触ればわかる。ほれ」
うまく状況が飲み込めず一匹の狼の姿で二足歩行する妖怪は距離を詰めてくる。
そして、
むにゅ。
「ふん。こりゃー雌だ」
「きゃあー!!」
あろうことか服の上から胸を触られた。
な、なななにをした!?
「おお!雌の肉は上品だと聞いた。鍋をもって煮て食ってやろう」
え、私食べられちゃうの?!