恋の方程式
私たちは、学園に戻りいつも通りの生活を送ろうとしていた。
でも、やっぱり翔に対して同情の気持ちで接してしまう。
蓮から聞いた翔の過去のせいで・・・。
でも、この話を聞いてないかったら今、私も彼達もこんな笑顔になっていなかったかもしれない。
――――翔の過去
翔が中学の頃の話。
翔には、愛してた彼女がいた。
周りの女とは比べ物にならないくらい、可愛くて狙ってる男もいた。
もちろん、翔に媚を売ってくる女も。
そんな中彼女だけは違った。いや、違ったと思いたかった。
彼女との出会いは、本屋だった。
翔が休日いつも本屋に行って、本を買っている。
たまたま彼女と一緒の本を手に取ってしまった。
翔は、「どうぞ。」と譲った。
なのに、彼女は「いいです!!」と断った。
翔はすでに彼女の事を知っていた。
翔と同じくらいモテるからな。
もちろん翔も男だから、「俺もいいですから。」と優しく言った。
これで落ちるかと思った。普通の女なら笑顔を振りまけば、顔を赤くして照れるのに、彼女は違った。
「じゃあ、今日は私が諦めます。貴方が欲しそうな顔をしているので。」と言った。
翔は驚いた。俺が欲しそうな顔をしている??顔を赤くしていない??
どういう事だ???
驚きまくりだ。
もしかして彼女は俺に興味がないのか??
他の女とは違うのか??
そんな事ばかり考えていた翔は、いつの間にか彼女の腕をつかんでいた。