我が道をゆく
転校生
「席つけー」
少し声を張る先生の指示に、生徒たちはそれぞれ自分の机に戻っていった。
先生は机に伏せて爆睡している律を見て一瞬顔をしかめたが、律の寝起きの悪さを思い出したのか、無視して教卓に立つ。
「知ってるヤツもいるだろうが、今日は転校生がいる」
――へぇー知らなかった。
私は頬杖をつき、込み上げる欠伸を噛み殺しながらそう思った。
あまり社交的でない私は、基本律としか一緒にいない。
律がいないときは本を読んだりケータイゲームをしたりと、1人遊びを地味に楽しんでいる。……寂しい子とか言わないで。
そんなわけで。自分の関心のあることにしか目を向けない律と1人でいることの多い私が、世間の情報に敏感なはずがなかった。
「神戸!入ってきなさい」
先生が廊下に向かってそう呼び掛けると、教室のドアが控えめに開けられた。
入ってきた少女は、それはもう――。
「か、神戸李音(かんべりおん)です」
――むちゃくちゃ可愛かった。