風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
「会長は宮島コーポレーションと、何らかの業務提携をお考えになっているということでしょうか?
それとも合併や吸収ですか?」

「そのどちらも考えられるな。」

おいおい、それも初耳だぞ。

もうこの際、驚きもしないが。

「では陽斗さんの結婚も、その計画がスムーズに進む為の1つといったところですか?」

「ああ、そう思って貰って構わない。」

「・・・わかりました、その前提でお話させて頂きます。
会長は、この縁談を会社の為、安曇Gr.の為だと言いました。
でも、私はそうは思いません。」

祖父の目が、少し細くなる。

その場にいる全ての人間が話の成り行きに息を呑んだ。

「それは何故だ?」

「会社が他社に合併、若しくは吸収される場合、大きく分けて2つの場合が考えられます。
1つは、合併する相手側の会社にそこにしかない優れた技術やノウハウがある場合です。
これは、相手方とその優れた特定の分野について業務提携する場合も同じですね。
でも、私は宮島コーポレーションがそれに当てはまるとは思っていません。
技術的な面からみれば、同等、もしくは我が社の方が上だと私は思っています。
それに、その会社にしかない特化した技術という面では、宮島コーポレーションよりむしろ我が社の方が上です。」

祖父は、彼女の発言に否定も合意もしなかった。

「では、もう1つは何だ?」

ただ、先を促す。


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