風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
だが、薫は怯まなかった。

「もう1つ・・・まだそんなに長い間ではないですけど、陽斗さんを近くで見ている立場から最後に言わせて下さい。
会長は彼を甘く見ています。
陽斗さんは、そんな事で潰れてしまう様な器の小さい人じゃありません。
もっと陽斗さんを信頼すべきです。」

薫はそう言うと、祖父を真っ直ぐ見た。

祖父も彼女から目を放さない。

そして問う。

「では、私からも最後に聞く。
孫は薫さんから見てどんな男だ。」

「とても強くて優しい人です。」

「君はこの状況が不安じゃないのかね?」

「正直・・・わかりません。不安だって一杯あります。
でも、私は陽斗さんに守られたい訳じゃない。
彼のお荷物になりたい訳ではないですから。
愛してるから、私が守ってあげたいんです。」

またもや、その場が静まり返った。

誰も動けない。

それは、瞬きさえも躊躇わせる。


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