風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~

会長の迫力はやっぱりすごかった。

彼一代で、会社をあそこまで大きくしただけのことはある。

会長には誰も逆らえない、身内でさえも。

この意味が、今日良く分かった気がする。

だけど、それは身内だからこそなのかも知れない。

お互いに大切に思っているからこそ。

2人とも頑固だから。


「何1人で笑ってるんだ?」

隣で運転している陽斗さんが怪訝な顔をする。

いけない、顔に出てたみたい。

「会長と陽斗さんて、とっても似てるなと思って。」

「止めてくれ、俺はあんなに性格曲がってないぞ。」

彼の顔、本当に嫌がってる。

私は思わず吹き出してしまった。

「ほら、その素直じゃないところ、そっくりです。」

それに芯の強い、ぶれない心を持っている所も。

心が温かくなる。

本当に私はこの人が好きなんだ。

例えこの気持ちが届かなくても。

私は彼の役に立てた。

ちょっと踏み込みすぎてしまったかも知れないけど・・・。

それで、会長と陽斗さんの関係が少しでも変わってくれたら。

だから、後悔はしていない。


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