風味絶佳~嘘からはじまる2人の関係~
「薫、・・・後2週間俺のマンションにいてくれないか?」
もうすぐ彼のマンションに到着する頃。
彼の予期しない言葉に私は驚く。
「・・・・・・。」
「縁談話が無くなった直後に薫が出てったら、不自然に思われるだろう?」
「それはそうですけど・・・約束と違います。」
まだ一緒にいられるのはすごく嬉しい。
でも・・・2週間後、私はもっと苦しくなる。
もっと辛くなる。
私は拳を握り締めた。
「大丈夫だ、嫌ならその間俺はここには帰らないから。
今日もこの後社に戻る。」
黙ってしまった私を見て、彼は勘違いした様だった。
だけど、私はその言葉に激しく動揺する。
何それ・・・。
「そんなの嫌です!!」
彼のマンションに1人でいるなんてもっと嫌だ。
彼に避けられるのも嫌。
折角、もう少しの間近くにいられるのに。